ツアコンという仕事を誤解している人は少なくありません。
ここでは、ツアコンという仕事がどういうものなのか
また、やってみたいと思ったら どうしたら良いのか
…についてお話したいと思います。
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 高校生は、まずこれを読んでください。
 ツアコンって旅行会社の社員じゃないの?
 ツアコンとガイドはどう違うの?
 ツアコンに資格は必要なの?
 未経験者でもツアコンになれますか?
 募集はどうやってみつけるのですか?
 登録にお金はかかるのですか?
 外国語はどの程度のレベルが求められますか?
 海外にいたので英語には自信があります。
 転職してツアコンになろうと思っています。
 主婦でもツアコンになれますか?
 妻子がいる男性ですが
 45才で未経験です。これからでもなれますか?
 未経験者は先ず国内添乗からと言われました。
 2種類の派遣会社
 どの会社がお奨めですか?
◆ 高校生は、まずこれを読んでください ◆
高校生から良く聞かれることがあります。
それは進路についてです。
「大学は、どんな学部を選べば良いですか?」
「専門学校に行ったほうが良いですか?」
「留学したほうが良いですか?」・・・などなど

先に言っておくと、ツアコンになることを中心に決めないでください。
「進学したら本当にやりたいことは何なのか」
ということに集中して進路を決めてください。

ツアコンになるための知識や資格は、
卒業してから派遣会社に登録して付けることができます。

だからアドバイスとしては・・・

学歴で勝負する世界ではないから自分という個性を大切にすること。
体力をつけて好き嫌いのない食生活を送っておくこと。
本を良く読んでおくこと。
いろいろなモノに興味を持ち、自分の中味を磨いて
人間的に幅を持たせること。
サークルやスポーツで幅広い人付き合いをして、
考え方や価値観の違う人たちとも仲良くやれる訓練をしておくこと。
礼儀・言葉遣い・公衆道徳を素直に学んでおくこと。

そして・・・あせらないこと。
あなたが本当に添乗が好きなら、
回り道をしたとしても添乗はあなたを待っていてくれますよ♪

だから、ツアコンと関係ないような職業を経験して、
それでもまだやりたいと思うなら、
そのときにあらためて相談してください。
それまでの社会経験は
ツアコンになったときも必ず役立ちます。

それから、もう一つ。これは注意です。

掲示板で質問をするのは良いのですが、
誰かが回答したら、返事やお礼を書きましょう。
質問をしっぱなし、という人がいますが、
人に ものを尋ねて返事があれば
お礼や挨拶をするのは当たり前です。
礼儀を知らない人はツアコンになる前に人間として失格です。

それと、せっかくこのようなコーナーがあるのに、
まったく読まずに質問をしてくる人がいます。
まず自分で調べるという努力もせずに、
いきなり(しかも、すでに書いてあることを)尋ねるというのも、
誠意のない礼儀知らずな人と思われますよ。

もし、この文章を読んで厳しすぎると感じるなら、
ツアコンになろうなどと思わないほうが良いです。
ツアコンには向いていないし、
なったとしても長続きしませんから。

◆ ツアコンって旅行会社の社員じゃないの? ◆
旅行会社の社員であるとは限りません。
とくにパックツアーと呼ばれるツアーのツアコンは、
ほとんどが派遣会社から来ています。

彼らは添乗を専門にやっている人たちで
「プロ添」と呼ばれることもあります。

かつては旅行会社の社員が添乗するケースばかりでした。
自分で集めたお客様のアフターケアや
次回のセールスに繋げるという営業目的があったのです。

でも添乗に出ると「営業の空白期間」ができます。
そこで分業のスタイルができました。

商店街や社員旅行などは
今でも社員が添乗することが多いですが、
それでも数人のツアコンが必要なら、
サブ添乗員と呼ばれる人は派遣会社から出ていることがあります。

その意味では、添乗だけをやりたいという人にとっては
旅行会社に就職することが早道とは言えなくなりました。

◆ ツアコンとガイドは違うの? ◆
ツアコンもガイドもマイクを持って話すし、
どちらも旗を持って先導することがあるので、
両者を混同する人がいますが、基本的に違う職務を担っています。

バスガイドは、本来はバスの「車掌さん」なのです。
だから運転手と同じ会社から来ています。
バス内でお茶を配ったり観光名所を説明するのは
車掌業務に付帯するサービス、つまりオマケです。

ではツアコンは何をしているかというと、
専門用語で「旅程管理」をしているのです。
つまり、ツアーの進行を管理しています。

ツアーが予定の行程に従って進んでいることを確認し、
もしそうならないようなら現地で調整するのが仕事なのです。

だから、宿泊地の予約確認や部屋割りは「ガイド」はやりません。
それはツアコンの仕事です。
食事の確認や乗る飛行機の確認などもツアコンの仕事です。


海外で市内観光をするとき、現地で別の「ガイド」が出てくるでしょ?
あれはバスガイドと違ってガイドが本業です。
だから観光説明が終わるとさっさと帰ってしまったりするのです。

ただ、この「旅程管理業務」というのは、
なかなかお客様の目には見えません。
お客様の食事中や観光している間、
あるいはホテルの部屋に戻ったときにやっていたりするからです。

また、場所によってはガイドがいない場合もあり、
このようなケースではツアコンがマイクを持って
いろいろお話しすることがあります。

これは「旅程管理」というツアコンの本来の仕事からは離れるのですが、
お客様への付帯サービス、つまりオマケとして行っているのです。

◆ ツアコンに資格は必要なの? ◆
はい。「旅程管理」という業務をするためには資格が必要です。

一般には「旅行業務取り扱い主任者」という資格が知られていますが、
この資格ではツアコンにはなれません。
ツアコンに必要なのは「旅程管理主任者」という資格で、
これは国土交通大臣の認定資格です。

「旅程管理主任者」にも2種類あり、
国内添乗だけをやるなら「国内旅程管理主任者」、
海外もやるなら「総合旅程管理主任者」という資格が必要になります。

取得の仕方としては、
国土交通大臣が認定した機関が実施する研修を受けて、
ある程度のレベルをクリアすることです。
(ほとんどの人がクリアしている・・はずです。笑)。

この資格を取得する一番手っ取り早い方法は、
社団法人日本添乗サービス協会(TCSA)という
添乗員や添乗員の派遣会社が集まった業界団体が行っている
「指定研修」を受けることです。


そして、その指定研修を受講するための近道は、
TCSAの会員になっている添乗員派遣会社に登録することです。
この派遣会社がTCSAに「推薦」する形で受講の道を開くからです。

しかし、このような「座学」の研修をパスしても、
それだけでは添乗員としての資格は十分ではありません。
「実務経験」も有していなくてはいけないのです。

でも、これからという人に実務経験などあるはずがありませんよね?
そこで救済策があります。
「しかるべき資格者がしかるべき目的で行う『実地研修』は
実務経験とみなす」というものです。

実は、このサイトの管理人は、こうした研修の講師でもあります。

◆ 未経験者でもツアコンになれますか? ◆
ツアコンになることは それほど難しいことではありません。
事実、ツアコンをやっている人のほとんどは
まったくの素人で この世界に入ったと思われます。
(他の仕事からの転職組が多いです。)

添乗員の派遣会社には、
未経験者や無資格者が仕事に就けるようになるための
教育プログラムがあるはずです。

だから、まず登録すること。
そして研修を受けて資格を取得すれば
未経験者でもツアコンになれます。

問題はツアコンになった後です。
せっかくツアコンになっても長く続けていない人が多いのです。
一番は待遇面での問題だと思いますが、
詳しくは「実態調査」を参考にしてください。

仕事を始めて悩むことがあれば
当サイトの掲示板でご相談ください。
添乗を始めて一年以上の方には
「ラウンジ」という会員制のサイトもあります。

◆ 募集はどうやってみつけるのですか? ◆
会社によって募集時期や媒体はマチマチです。
しかし、旅行シーズンは人手が足りなくなるので、
その前に募集する会社は多いです。だから探しやすい時期ですね。

それ以外に、定期的に募集する会社もありますし、
欠員が出たら補填する程度に募集するところもあります。
(後者の場合は経験者になるでしょうけど。)

媒体としては、新聞、雑誌、自社のHPなどが考えられます。
また、募集は地域的に行うので、
近くに添乗員の派遣会社があるかどうか調べることです。
社団法人日本添乗サービス協会に問い合わせると良いでしょう。
見つかれば、直接問い合わせて確認してください。


◆ 登録にお金はかかるのですか? ◆
登録に、お金はかかりません。
しかし、資格取得のための費用や実地研修などで
お金がかかることがあります。

資格に関しては社団法人日本添乗サービス協会が
受講費用を徴収しているため、
手続き上、派遣会社が登録者からお金を預かることがあります。

また実地研修を実施している場合は
実際のツアーと同じことですので、
応分の費用を研修生が負担するケースがほとんどです。

登録のための費用と研修のための費用は別ものですから
混同はしないでくださいね。


◆ 外国語はどの程度のレベルが求められますか? ◆
(海外添乗では)外国語のレベルは高いほど有利なことは確かです。
トラブルが起きたときに解決しやすいし、
何より自分で安心ではありませんか?

派遣会社によっては英語のテストをしたり
ある程度の資格を求めてくることがあります。

でも、語学力は道具の一つに過ぎません。
それよりも大切なのは、日本語です。
不快感を与える言葉遣いや間違った日本語の使い方は
いくら語学ができても不評やクレームにつながります。

それと、業務内容やお客様の気持ちを理解することが最初です。
その上での語学力なのです。

でも、安心してください。

添乗をしているうちに交渉力のある語学力は身に付くものです。
つまり、ここでいう語学力とは、単語数や文法力よりも
コミュニケーションの力を意味します。

かといって「全く語学力に自信がないのですが・・」と
開き直られても困ります。
苦手だという人は、少なくとも努力してください。

英語が苦手でも海外添乗員にはなれますが、
ツアー内容や方面が限定されます。
それは仕事のチャンスや収入面で不安定になるということです。

プロ添を依頼する会社は、語学力をあてにしていることがあります。
それに応えられるレベルの語学力があれば、
仕事の量も収入も変わる可能性があります。

僕自身、語学学校でTOEICの講師もしていましたが、
通訳がらみの仕事をするときは
一般の添乗報酬よりも上のランクで依頼が来ました。

ついでに言っておくと、英語以外の語学を使った添乗もあります。
中国旅行では英語よりも中国語ができたほうが有利です。

ただし、これも内容や本数が限定されるので、
オールマイティーに海外添乗ができるためには、
やはり英語がベースになるでしょう。


◆ 海外にいたので英語には自信があります。 ◆
外国語がベラベラだから良いツアコンになれる
・・というものではありません。
その前に正しい日本語が話せることが大切です。
語学力は、そうした基本ができた上での一つの武器に過ぎません。

「海外生活が長い」ので語学が得意だという人がいますが、
外国生活に馴染みすぎていると、
日本の団体旅行への対応が難しいことがあるようです。

お客様は日本人ですから、良し悪しは別にして、
「日本的サービス」を理解していないと
自分が苦労するしトラブルになることがあります。

外国人に良く見られるような
論理的、合理的な考え方に馴染めない日本人は まだ多くいます。
それが日本のサービス業の難しいところです。

その意味では「外国ズレ」した人を嫌がる傾向にありますし、
本人にとっても納得のいかないことが多いかも知れません。

国際化の中で、僕はこういう風潮を良いこととは思っていません。
でも、今の旅行業界が持つ実態ですので、
ここではこのように答えさせていただきました・・マスター 。

◆ 転職してツアコンになろうと思っています。 ◆
ツアーのお客様の層は
年齢的にもバックグラウンド的にも幅が広いものです。
だからツアコンも社会経験があったほうが良いのです。

そのような理由かは分かりませんが、
現職添乗員のほとんどは転職組みです。

でも、転職したい理由が・・
「職場で人間関係がうまくいかなかったので」
・・というのであれば、
ツアコンの世界は、もっとその人間関係に悩まされるかもしれませんよ。
接客業(それも、とても「日本的」な!)ですからね。

ただ、添乗の場合は「期間限定」のお付き合いで終了しますから、
人間関係のストレスが大きい反面、
OLやサラリーマンより気分が切り替えやすいかも知れません。


◆ 主婦でもツアコンになれますか? ◆
主婦でツアコンをやっている人はいます。
ただ、ご家族の理解と協力が必要でしょう。

日帰りツアーといっても、朝は早くて帰宅は遅くなりがちです。
いわゆる9時〜5時の仕事のようにキッチリとした時間には
終わらせられません。

またツアー前後は、打合わせや精算・報告などで時間を取られます。
つまり、日帰りといっても一日では済まないのです。
海外添乗となると、家を留守にする期間はさらに長くなります。

だからご家族と相談してください。
そして、もし「月に○日くらい」という限定があるなら、
所属しようとする会社にも相談してみてください。


◆ 妻子がいる男性ですが ◆
収入は決して高くないしシーズンによるアップダウンがあります。
ツアコンになりたての頃は、とくに収入が不安定です。
先の見えない不安がつきまといます。

他に安定的な収入があれば良いですが、
ツアーが入ったときに時間を空けられなければなりませんので、
どっちつかずになるかも知れません。

妻子持ちでツアコンをしている人は、
別に経済的基盤があるとか、独身時代からやっていて
安定的な収入が読めるから結婚したのではないでしょうか?

以上の理由から、
妻子持ちがいきなりこの世界に飛び込むことは、お勧めできません。
魅力的な仕事だし、残念なことですが。


◆ 45才で未経験です。これからでもなれますか? ◆
※「45才」と書いたことに、深い意味はありません。

会社が年齢制限を設けている場合は別ですが、
僕が研修してツアコンになった人の中には
40代後半で未経験のまま飛び込んできた人がいます。
だから可能といえば可能です。

しかし、「年下の先輩」と一緒に仕事をすることになったり、
お客様からベテランとみなされるプレッシャーがあります。
また体力的なことも心配かも知れません。

だから「可能」ではあるのですが、それなりの苦労はあると思ってください。


◆ 未経験者は先ず国内添乗からと言われました。 ◆
海外添乗の前に国内添乗からさせられることがあります。
主だった理由を挙げてみましょう。

(1) 国内添乗は日数が短いので初心者には楽 。
(2) 語学や時差や通貨を気にしないので 〃 。
(3) 緊急事態で連絡が取りやすいので 〃 。

つまり、海外添乗をする前の準備段階として
国内から始めたほうが楽だという見方があります。

また、派遣する側(会社)から見ると、
いきなり長期で目の届きにくい海外に出すのは
不安だという思いもあります。

僕は国内添乗の方が海外添乗より楽だとは思っていません。
海外より国内の方がお客様は「わがまま」を出しやすいものです。
添乗員を頼りにする度合いが低いから遠慮が無いのです。

でも、海外でも相手にするのは日本人。
だから、このような国内旅行を経験してから海外に出ると
接客面では、グッと楽になります。
その分、添乗業務に集中することができます。

いきなり新人を海外に出す会社もありますが、
僕から見ると冒険ですね。
本人にとっては「嬉しい会社」に見えるかもしれませんが、
厳しい言い方をすれば乱暴です。

よ〜っぽど事前の研修がしっかりしていれば別ですが、
経験上、そこまでのプログラムを完備している会社は
ほとんどありません。

◆ 2種類の派遣会社 ◆
最後に、2種類の会社のことを説明しておきます。
今まで簡単に「派遣会社」と言ってきましたが、
大きく分けて2種類の派遣会社があるというお話です。

一つは旅行会社が子会社として持っている派遣会社です。
このような会社を「インハウス」の会社と呼びます。
添乗するツアーは親会社である旅行会社が主催するものがほとんどです。

長所としては、大手の旅行会社が持っている会社ですので
ブランドとしてのネームバリューがあります。
気分的にも待遇的にも安心感があるかも知れません。

反面、いつも同じ会社のツアーですから
仕事の内容や人間関係がマンネリ化する可能性があります。
担当者と相性が合わないとしても、
なかば社員のようなものですから上手くやっていく必要があります。
「自由さ」を求めて会社勤めからツアコンに転職して人にとっては
・・どうでしょう。

もう一つの形態は「独立系」の会社と呼ばれています。
これは特定の旅行会社の資本が入っていない派遣会社です。
つまり、いろいろな旅行会社のツアーを扱うわけです。

長所としては、自分に合ったカラーの会社(ツアー)を見つけられる
可能性があるということ。
旅行会社もツアーも独自のカラーというものがあります。
ツアコンとツアーのカラーが合わないと、
本人も会社も(あるいはお客様も)可哀相な思いをすることがあります。

反面、いつも違った旅行会社やツアーに出ると、
そのたびに新しいやり方に慣れなくてはなりません。
そのつど 新しい緊張を強いられることが考えられます。

それぞれのタイプの会社にメリット・デメリットはあります。
どちらが良いとか悪いという言い方はできません。
独立系の方が多いので、素人にとって大きな門戸を開いている
という見方はできますが、
やはり本人が会社説明会などを通して
自分の目で確かめた方が良いでしょうね。


◆ どの会社がお奨めですか? ◆
よく「お薦めの会社があったら教えてください」と訊かれますが、
僕は特定の会社を薦めることはありません。

推薦しても本人との相性の問題があるし、
「100%お奨め」の会社なんてありえないです。

なぜなら、どんな会社でも残る人と辞める人がいるし、
それぞれに聞けば、違った意見が出るだけですから。
「へぇ、これが同じ会社の話なのかなぁ?」というくらいに。

これからの人にとっては、どの会社を選ぶかということよりも
どの会社が採用してくれるかということのほうが
切羽詰った問題ではないですか?

だとしたら、まずは自分の目で見て確かめること。
そして、ここなら始められそうだという会社に登録すること。
できれば、最低でも一年間はそこで「修行」すること。

そうしているうちに仕事にも慣れて
自分のことや業界のことが見えてきます。

そのときに、あらためて移籍したいなら、
「どの会社が自分に合っているのか」と考えれば良いのです。
大切なのは「自分に合っているか」ですよ?

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